( ゚Д゚) 『大物釣り師って小説、ツイッターでちょくちょく話題だけど、これってオモロイの?』
( ゚Д゚) 『釣りのお話だとは思うんだけど、誰か読んでみた?』
( ゚Д゚) 『ちょっと気になるんだけど、読んだ人の感想とか知りたいんだぜ?』
っていう人のための書評記事でーす♪
いえね、なんかアレなんですよ。
俺ってヤツは読書とか好きでして、釣りの本もよく読みます。
で、ツイッター界隈で話題になっている釣りの小説で『大物釣り師』ってのがありまして、ツイートをみると、これがなんだかとっても面白そう♪
なんでも、メータークラスのイトウを専門に狙う大物釣り師のお話でして、熱量凄まじい物語っぽい。。。。
(/・ω・)/ 『これはもう、読むっきゃない!』
となりまして、光の速度でキンドル本をポチって読んでみました。
ってなわけで、大物釣り師の俺的レビュー、はっじまっるよー♪
3行で解説&あらすじ|そもそもこれってどんな小説なの?っていうお話。
超ざっくり、こんなお話でーす。
- 主人公の正人が、『趣味の釣り人』から『本物の大物釣り師』に成長するまでのお話
- 釣りに救われ、そして狂わされる、そんな生き様がかっこよくて、でもちょっとだけ悲しい。
- ツイッターでとっても話題の一冊。
破滅をも恐れず、幻の巨大イトウを追い求め、まるで修行者のような日々を重ねる、ある男の魂の軌跡を描く、巨大魚イトウ釣りをテーマにした斬新なフィクション。
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ちなみに、ここでいう大物釣り師っていうのは、幻の魚とも呼ばれる日本産最大の淡水魚『イトウ』を専門に狙う釣り師さんを指します。
ターゲットは1mオーバーのイトウなので、はっきりいって普通の釣りじゃありません。
ってなわけで、言葉そのままの意味で『生きる目的=イトウ釣り』っていう、そんなガチの釣り師さんを意味してます。
これはもう、はっきりいって、歪で不器用な生き方ではあるのですが、こういう生き方を主体的に選んだのか、それとも、選ばざるを得なかったのかは、人それぞれであり、そして釣り師それぞれ。
で、主人公の正人も、そんな大物釣り師の一人です。
- 正人は、なぜ釣りという世界に足を踏み入れたのか?
- イトウという特別な魚と正人の出会い
- 正人が『ただの釣り人』から『大物釣り師』へと変化するきっかけ
- 釣れない日々と初めてのイトウ、そして、大物への挑戦の日々・・・
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ただの釣り人であった正人は、イトウと出会い、この魚に魂を捧げ、そして本物の大物釣り師『清太』との交流を重ねる中で、ある決意に至ります。
『俺は日本一のイトウを釣る!』
あらゆる手段と情報を組み合わせ、『大物イトウ』だけに狙いを定める正人。
さて、正人という釣り師の生き方の、その結末は???
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とまぁ、そんなお話です。
ちなみに、この小説の著者である『武内貞志(たけいうち ていじ)』さんは、著者のご略歴と後書きから判断して、ガチの釣り師さんです。
そして、きっと本物の『大物釣り師』なんだろうなーって、おじさんはそんな風に感じました。
なんちゅうかこう、『ガチの釣り師』の生き様がギュッとつまってまして、半自伝的な香りがプンプンする、そんな素敵な一冊でございます!
『大物釣り師』の読みどころ|ここが凄い&オモロイ!
サクサク読める!
( ゚Д゚) 『俺は釣りは好きだけど、本は読んでるとすぐに眠くなるんだぜ?』
っていう人もいるかもなんですが、ご安心下さい。
この小説、文体がライトで、サクサク読めます。
漫画的というか、グラップラー刃牙的というか、そんな感じなんですよ。
ジェットコースターのようなスピーディーな展開でして、釣り師な皆様であれば、きっと誰でもハマって読めるかと思います。
ちなみに私は、1日であっという間に読み切りましたw
釣り師の心に刺さるパンチラインがてんこ盛り!だから、共感できまーす♪
この『大物釣り師』というお話は、言ってしまえば『正人』という釣り師の生き方と生き様のお話なんですね。
で、物語の中盤では、彼の生き様が変化するきっかけになるシーンが頻出します。
ほいでもって、そこで超かっちょいいフレーズが、バンバン出てくるんです!
ネタバレを避けるために全ては記しませんが、それは例えばこんなシーン。。。
◇魚がルアーにバイトする一瞬前の『あの予告的な肌感覚』について
『釣り師は皆、釣れる時は肌で感じるものだよ。大物イトウは特に。(後略)』
◇真冬の河川にて、夜釣りでイトウを狙う正人。沈黙の時間が続き、心が折れそうになった時に・・・
『水の中にルアーが入っているかぎり、釣れる可能性はあるはずだ』
◇他人のポイントに入り、釣りをする行為に対して
『(前略)それは山崎の魚、つまり、他人の魚だ。人の魚を釣っても、かっこ良くない。(後略)』
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ね?
心の奥の方に、グサッと何かが刺さるでしょ?
特に最後の『それは人の魚だ。』なんていうフレーズは、最近(2021年)大きな話題になった『釣り場のポイント情報をお金で売買するサイト』の是非にもつながる言及であり、とってもシンプルでかっこいい予言的な回答だよねーって俺は思います。
ようするにコレ、釣り魂みたいなものが俺達釣り師の大事な部分にはあって、そのど真ん中に著者の言霊がぶっ刺さってくるって事なんだと思うんですよ。
で、こんな感じのパンチラインがこの小説にはワンサカと出てくるわけです。
だから、グイグイと物語りにのめり込んでしまうし、読み進めるなかで、
(/・ω・)/ 『正人ぉおおお!その気持ち、わかるでぇえええ!』
(/・ω・)/ 『清太兄さん、かっけぇええええ!!』
(/・ω・)/ 『イトウ士、やべぇえええ!!!』
っていう感じで、心が揺さぶられること山の如しでごさいまして、そんなところが俺的に大好きなポイントでーす。
タックル描写がオモロイ!
さすが著者がガチの釣り師ってだけありまして、タックル描写が超正確で、しかもマニア心を刺激してくれます。
- ロッドはフェンウィック
- リールはカルディア3500番
- ラインはバリバス
- ルアーはラパラCD11に、ダイワのチヌークに、、、
これ、主人公である正人が選んだ最初のイトウタックルなんですが、イトウ釣りなんか全く知らない俺でも、
(/・ω・)/ 『おお! なるほどぉおおお!これがイトウ釣りか!』
って思うくらいに、そりゃまぁ納得のタックルセッティングなわけですよ。
本気でイトウ狙うなら、これくらいごついタックルにもなるだろうなーって思うわけです。
ルアーにチヌークが出てきた時なんて、
(/・ω・)/ 『そのスプーン、俺もサーフでのマゴチ&ヒラメ狙いで使ってるし!』
なんて声に出そうになりましたねw
で、物語の進捗とともにこの『初期タックル』もパワー不足となり、正人はタックルをよりヘビーなものへと変更する必要性に迫られるのですが、その時のチョイスがもう最高!
(/・ω・)/ 『淡水の釣りでそのロッド、そして、そのリールを選びますか!』
って感じの最終兵器が登場します
皆様の楽しみを奪いたくないので情報は伏せますが、釣り師なら納得のチョイスでして、俺はもうこのシーンでニンマリでございましたね^^
イトウ釣りのノウハウ、描写がリアルでワクワクする!
これも、さすが著者がガチンコ釣り師っていうポイントなんですが、釣りの描写がとっても丁寧で、リアルなんです。
例えばこの小説の冒頭部分で、大物のイトウをかけるシーンがあるんですね。
その時の描写がこんな感じです。
- イトウからのファーストバイトに対して、正人が反射的に大きなアワセを入れる
- ロッドが大きくしなり、獲物が超大物である事を正人が察知する
- 正人はフッキングを確実にするために、獲物が正人の方を向いたその瞬間に追いアワセを入れる!
とまぁ、実にリアルな一連の描写なんですが、これが1ページで簡潔に述べられた後に、
『そもそも、なぜ魚がこちらに頭を向けた時に追い合わせを入れるのか?』って事の論理的な解説が入るんですよ。
この描写なんかもう、明らかに著者の意思表示だと思うんです。
つまり、『ガチの釣り師に対してこの小説を書くからねー』っていう著者の思いが、この冒頭のファイトシーンに詰まってる気が俺にはしたんです。
で、なんだかもう、おじさん嬉しくなっちゃいましたw
ってなわけで、リアルな釣り描写もてんこ盛りでして、俺的にはここが大好きなポイントでーす!
ちょっと艶っぽいエロティシズムも、ありまーすw
正人には愛する女性がいるのですが、そんな恋人との『あんな場面』も、この物語中にはごさいます。
釣りの世界には、『魚釣りとは性欲の延長だ』みたいな名言が昔からあって、これって実に正しいと俺的には思うんですが、そんな正人の『雄』としてのワイルドさと優しさもしっかりと表現されてます。
実にこう、なんかアレです。
リアルで、ドッキドキです♪
釣り人の悲しさも、いっぱい詰まってます。。。
釣りの名言ってのは、いろいろありますな。
で、俺が大好きな言葉に、こんなのがあるんです。
『飲む、うつ、買う。この3つ以外で人生を狂わせる事ができる唯一の楽しみ、それが魚釣りである。』
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たしか2ちゃん(今でいう5ちゃんね)で見かけたフレーズだったと思います(間違ってたらごめんなさい)。
ちっとも美しい表現ではないのですが、ある一線を越えた釣り師なら、きっとこれって納得のフレーズだと思います。
この記事を読んでいるあなたにも、釣りで人生が狂った友人の一人くらいはいるかもしれませんし、もしかしたら、あなたが自身が、そんな『釣りに人生が狂わされた当事者』かもしれないし・・・
で、この『大物釣り師』っていうお話は、このような『釣り狂いな人々』の悲しい生き様も、丁寧に表現されてます。
っていうか、この物語の根底に流れる太い軸が、このような『人の業としての釣り師という生き方』なのかなぁって俺は思うんです。
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『日本一のイトウ』という、明確なようで曖昧な目標に人生をかける大物釣り師たち。
ある釣り人は働くことを犠牲にし、ある釣り人は死を覚悟し、そしてある釣り人は、家族を諦めます。
そこまでして捕りたい獲物、それがイトウという幻の魚であり、だからこそこの釣りは『魔性』とまで呼ばれ・・・
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とまぁそんな感じでございまして、ようするになんか、アレなんですよ。
『魚釣り』という孤独な楽しみにふける釣り師の避ける事ができない宿命みたいなのが、
この物語にはギュッと詰まっているんです。
で、そんなもの悲しさもまた、
(/・ω・)/ 『俺的には、共感120%だね!』
って感じました。
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要するに、我々釣り師の幸せは、必ずしも社会生活の幸せとは両立し得ないので、どっちかを諦めなさいともし神様が俺にいうのであれば・・・
(/・ω・)/ 『俺は社会生活の方を諦めまーす♪』
っていう結論に俺は達しましたね^^
まとめ|『大物釣り師』はどんな人にお勧めの小説か?
まず始めに注意勧告を。
魚釣りという楽しみを、『オシャレで平和的なアウトドアの一種』とか、『家族サービスの一環』と捉えている人は、この小説を読んでもあんまり共感しないのかなー?って思いました。
なんというか、そういう感じの『ライトな釣り人』にとっては、このお話の熱量って大きすぎるし、熱すぎると思うんです。
決してハッピーだけが詰まったストーリーではないし、マニアックな専門用語もワンサカ出てきて、それこそがこの小説の個性でもあります。
だから、そのような『一線を越えた専門性の高さ』を自分が許容できないなーっていう人にとっては、あんまりおもしろくないと思います。
でも、ご心配なく。
それは決して悪いことじゃないし、むしろそれが普通ですので、ご安心下さいませ。
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じゃあ逆に、どんな人にとってこの小説はオモロイかというと、それはきっと、こんな感じの俺たちじゃね?って思います!
- 現役のガチンコイトウ釣り師さん
- 『いつかイトウを釣りたい!』っていう人
- 『魚釣りが生きる目的です!』っていう人
- 有給休暇を取って釣りに行ったことが一度でもある人(=釣り狂い予備軍様w)
- 夢枕獏の『大江戸釣客伝』を楽しく読めた人
ちなみに、『大江戸釣客伝』については、説明が必要かもなので、念のためざっくり解説しておくと・・・
これは餓狼伝のなんかで有名な有名な夢枕獏の小説でして、『生類憐れみの令に巻き込まれた釣り師たち。これから、どうする???』って感じのお話です。
これね?
↓
この『大江戸釣客伝』では、魚釣りという生きがいを奪われた釣り師の葛藤や、かっこよくて悲しい生き様なんか多くの釣り師を介して語られてます。
で、『大物釣り師』と『大江戸釣客伝』は、物語のテイストも、時代背景も全く違うのですが、どちらのお話にも、その根底に『人の業としての魚釣りを全力で肯定する!』っていう哲学的な思想が流れているよなーって、そんな風に俺は思うんですよ。
ちなみに、この『人の業の肯定』ってのは、『落語とは何か?』との問いに対する落語家『立川談志』の回答です。
実にカッコよくて、切ない答えだなぁと私は思うんですが、同じことが魚釣りという行為にも言えるよねぇって、俺はそう思うんです。
そんなわけで、大江戸釣客伝が楽しめた皆様にとっては、この『大物釣り師』っていう物語もまた、あなたの釣り師としての生き方の幅を広げてくれる、そんな一冊になると思います。
話が少し脱線しましたが、『俺はガチの釣り師である』っていう自覚が既にある人にとっては、この物語はあなたの心の大事な部分にグサッとぶっ刺さるはず!
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ってなわけでまとめると、
(/・ω・)/ 『俺たち釣り師は、釣りにこそ生かされている、そんな悲しい生き物なんだぜ?』
っていう事を再認識させてくれるとってもオモロイ小説、それが大物釣り師という魂の一冊でございまして、気になる人は読んでみるとよろしいかと思いまーす。
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お後がよろしいようで。