シーバスのルアーフィッシングを今よりも上手く、そしてもっと楽しむためには、この魚がどのような特徴と生態を持っているのか理解しておく事も大事です。
というわけでこのページでは、ルアーフィッシングのターゲットという視点から、シーバスというターゲットの生態をまとめてみました。
あたなのシーバスフィッシングのヒントになれば嬉しいです。
シーバスってどんな魚?(生態、分類、学名、近縁種)
シーバスはスズキ目スズキ科の魚である『スズキ』に対して、ルアーマンが勝手に名付けた愛称みたいなものです。
ルアーマンってこういう変な名前の付け方が好きなんですよね。
学名は『Lateolabrax japonicus』(読み方:ラテオラブラクス ジャポニクス)といって、ジャポニクスという名称からわかるように、日本沿岸部および周辺に生息する魚です。
英語名はというと『Japanese seaperch』(読み方:ジャパニーズ シーパーチ)が一般的ですが、『Japanese seabass』でも通じます。シーバズという表現の方がマイナーだというのが面白いですね。
この魚は、フィッシュイーター(小魚を捕食する魚)の代表格であり、身近な河川、港湾、サーフ、磯などのように幅広く生息しています。
一般的にシーバスは回遊行動を行う特徴があるため、回遊ルートと重なる『アタリポイント』といわれる一級ポイントに、特定のシーズンだけ姿を定期的に表すこともあります。
このような回遊の個体を狙う場合は、ポイントと時間をシーバスの回遊に合わせて一カ所で粘る『固定砲台打ち』と呼ばれる釣り方が有効です。
その一方で、個体によっては回遊行動をせずに、一定の狭いフィールドに留まって生活する『居着きのシーバス』もいます。
このような個体を狙う場合は、居着きのシーバスが捕食を行うポイントを調べ上げ、一つ一つ潰していく『ランガンの釣り』が有効ですね。
同じシーバスであっても、居着きか回遊かで狙い方と攻め方が大きく事なるのがこの釣りの特徴です。
スズキには近縁種が三種類知られており、シーバスという名称はこれらの近縁種に対して使われる事もあります。
①マルスズキ
シーバスと言えば普通はこのマルスズキを指します。体が丸っこいのが特徴です。
②ヒラスズキ
マルスズキとよく似ていますが、頭が小さく、体高が高く、全体に平べったく、マルスズキより銀ピカでかっこよくて、そして食べると美味しいのが特徴ですw
荒れた磯場を好む事から、『磯の王者』『磯の荒武者』なんて異名もあります。
③タイリクスズキ
(画像引用元:DAIGORO 上海の釣りバカ日記)
マルスズキとそっくりの体型ですが、身体に黒い斑点があるのが特徴です。
もともとは中国、台湾、朝鮮半島に生息している魚だったのですが、養殖用に日本に持ち込まれた個体が逃げ出し、野生化した経緯があります。
④有明海産スズキ
(画像引用元:海と陸の狭間で)
マルスズキとタイリクスズキのハイブリッド(交雑種)であり、九州北西部の有明海~八代海に生息する地域限定のスズキです。全体の見た目は、マルスズキよりの個体もいれば、タイリクスズキよりの体中に黒い斑点をもつ個体もいます。
シーバスは何を食べている?(シーバスの偏食傾向とベイトパターン)
シーバスをはじめとするフィッシュイーターの餌となる小魚の事を『ベイト』と呼びます。
このベイトは、季節と場所によって変化する特徴があり、カタクチイワシ、イナッコなどの典型的な小魚を始めとして、バチ(イソメやゴカイ)などの生物、カニなどの甲殻類なども典型的なベイトです。
大事なことは『季節の変化、餌の変化によりシーバスは特定の餌を偏食する』という性質がある事です。
そのため、今この時期にシーバスは何を食べているのか?を考えてピッタリのルアーを選ぶ必要があるのです。
ルアーマンはこのような『シーバスの偏食』という生態をうまく利用して、○○パターンなんて名前を付けて、ルアー選びの参考にしていますね。
- 春から始まるイワシパターン
- 梅雨シーズンのバチパターン(イソメ、ゴカイなどのにょろにょろした生物)
- 初夏から始まるイカパターン
- 最高のベイトであるカタクチイワシパターン
- 秋の落ち鮎パターン、サヨリパターン
- 真冬のカニパターン
日本は縦に長いのでこのパターンにもいくらかのズレが生じるのですが、私が意識しているパターンはざっとこんな感じです。
シーズン、場所によってベイト(餌)が異なるので、このパターンを上手く見つけて手持ちのルアーに当てはめていくのが、シーバスゲームの醍醐味ですよ!
シーバス(スズキ)は出世魚
シーバス(スズキ)は、最大で1mを超えるくらいにまで大きくなるモンスターですが、大きさによってその名称が変化します。いわゆる出世魚ってやつですね。
これも地域によって呼び方が違うのですが、一般的には以下のように呼ばれています。
- 30cm未満⇒セイゴ(リリースしましょう)
- 30~60cm⇒フッコ(食べるとおいしいサイズ)
- 60cm以上⇒スズキ(80cm超えると味が落ちるらしい・・・釣った事ないですが。。。)
ルアーマンは、セイゴが釣れてもフッコが釣れても『シーバスが釣れた』って言います。そして、60cm超えたら『スズキが釣れた!』って自慢します。
人間の悲しい性質ですねw
シーバスは美味しいのか?(料理)
スズキは夏が旬の魚であり、生息域にもよりますが、サーフや磯、河口直下、船釣りで釣れる沖のシーバズ(マルスズキ)は、淡泊でクセのない白身の美味しい魚です。
東京湾のスズキと言えば寿司のネタとして有名ですし、他にもお刺身、洗いなどもサッパリとしていて美味ですね。他にも、フライやソテー、アヒージョなどの熱や油を加えるような洋風の調理法とも相性が良いです。
もちろん、定番の塩焼きも身のうま味が引き立ち、酒のつまみとしても絶品です。
一方で、河川中流域のような淡水系のフィールドで釣れるシーバスは、身に独特の臭みがあり食べても美味しくないでリースした方がいいかと思います。
ちなみに、釣れた時の魚体の色と臭いで『美味しい個体かどうか?』は完全に判断が付きます。
真っ黒に日焼けした少し臭いのきついものは『居着きの個体』であり、食べるのには適していません。一方で、体色が全体的に銀色~白みがかっており泥臭さがないものは、『回遊の個体』であり非常に美味です。
シーバスはどこにいるのか?(生息域)
シーバス=海の魚というイメージが強いかもしれませんが、むしろ汽水域(淡水と海水が混ざった水域)を好む魚です。
その理由の一つとしては、汽水域はベイトが豊富で、しかも水の流れが常時あるため酸素濃度が濃い事が挙げられます。そのためシーバスにとって汽水域は、食事もとりやすく、また酸素も豊富で活動しやすいというメリットが多いフィールドになっています。
- 河口直下
- 河川域
- もちろん海域(サーフ、港湾など)
- 沖の沖のずっと沖
- どぶ川
以外にも身近にまで泳いできてくれています。ルアーゲームのターゲットとして考える時、この『どこにでもいる』っていう性質はとても有難い存在ですよ。
季節ごとの釣れやすさ(シーズナルパターンその①)
基本的に一年間、場所さえ間違えなければ、どこかにシーバスは潜んでくれています。
ですが、やはり釣りやすさとなると、季節性は大きく釣果に影響しますね。
特に冬、私のホームである九州の南端のどこかでは12月くらいになると、産卵のために沖へとシーバスは帰ってしまいます。
その後の真冬のシーズンは、釣果は落ちるけど、釣れるとサイズがでかい、そんなギャンブルフィッシングシーズンの到来です。
私(編集部・るあらび)は以下のような季節と釣りやすさの相関を感じています。
- 1月:数は出ないけど釣れるとでかい(平均50cmオーバー)
- 2月:びっくりするくらい釣れない
- 3月~7月:少しづつ釣果アップ。サイズは控えめ(セイゴ、フッコ)
- 8月~9月:夜釣りで数が出る季節。
- 10月~12月:ハイシーズン、数もサイズも段々と良くなる(フッコ、スズキ)。
もちろんこれは、場所や地域にもよりますのであくまで参考程度にとらえおいて下さい。
私のホームである九州のどこかでは、こんなシーズナルパターンなんだなって考えてもらえればいいかと思います。
~関連記事の紹介~
四季それぞれのシーバスの活動パターンや居場所に関するより詳細な内容は、以下の記事にまとめています。
⇒シーバスが釣れる季節とシーズナルパターンの基礎/初心者のためのシーバスルアー釣り入門
季節ごとの釣れやすい時間(シーズナルパターンその②)
シーバスのルアーフィッシングというと『夜釣り』というイメージがあるかもしれません。特にこの魚は、獰猛なのに臆病な性質があります。そのため、夜の方が警戒心が薄れて、ルアーで釣りやすくなると言われています。
確かに真昼間の明るい時間になると、どうしてもアタリも減って、釣りづらくはなってきます。
ですが、私自身は、デイ(昼の釣り)かナイト(夜の釣り)か?という問題は、『アングラー側の釣りやすさ』という視点から考えるべきであり、季節に依存するように思うんです。
というか、真冬の2月に夜釣りなんて寒くて無理ですしw
私は以下のように、シーバスのデイゲームとナイトゲームを分けて楽しんでいます。
- 1月⇒デイゲーム(夕まずめ中心)
- 2月⇒オフシーズン
- 3月⇒デイゲーム
- 4~7月⇒ナイト&デイゲーム(夜から朝まずめ中心)
- 8~9月⇒ナイトゲーム
- 10~12月⇒ナイト&デイゲーム(ハイシーズン)
そして、これらのフルシーズンを通して一番良い時間帯があります。
それが『まずめ時』。つまり、朝まずめ(日の出前後の一時間くらい)と夕まずめ(日没前後の一時間くらい)です。
この時間にサーフや河川の水面を眺めている面白いですよ。特にシーバスハイシーズンの秋、10月くらいのサーフの朝まずめは壮観です!
海面が急にざわつき出して、ベイト(イワシなどの小魚)が急に元気を取り戻して、その真下でシーバスが捕食モードに入ります。
ボッカンボッカンと海面がシーバスのボイルで騒ぎ出すのもこの時間帯が多いです。どんなルアーを投げても、まあ釣れちゃいますw
光量の変化でベイトにスイッチが入り、それに応じるようにシーバスの捕食スイッチも入るためと言われいていますが、詳しくはシーバスさんに聞いたことがないので分かりません。
特にシーバスのデイゲームは、夜釣りと比べてシーバスのファイトが強烈で派手になりますので、すっごく楽しい!
ですので、朝まずめ、夕まずめだけは絶対に外せないベストタイム。効率を重視するのであれば、この時間帯だけルアーを投げてもいいくらいかもしれません。
シーバスの天敵は?
生まれて間もないセイゴサイズ未満のシーバスであれば、フィッシュイーターと呼ばれる多くの魚が天敵となり得ますが、60cm以上のスズキサイズまで大きくなると、基本的に海の中にシーバスの天敵はいません。
フィールドによってはサメなどが天敵になり得ますが、これはマイナーな例なので想定する方が不自然かと思いますし…
ですが、シーバスの天敵は海の外にいます。
それが、カツオドリなどの魚を捕食する海鳥やウミネコなどの水鳥であり、漁師さんであり、そして我々釣り人です。
これは冗談でもなんでもなくて、実際にシーバスがなぜ水面付近を警戒するのか考えれば明らかだと思います。
そこに敵がいるからこそ、シーバスは水面を警戒し、食い気のスイッチが入った時しか水面までは顔を出してはくれません。
ですので、特に日が上ってからのシーバス釣りにおいては、シーバスは基本的に水面を警戒していると考えて行動するだけで釣果に繋がりやすくなります。
- 水面に影を落とさない
- 足音をたてない
- 大声を出さない
- 遠投してシーバスの視界から自分が外れる距離感だけを狙ってみる
- 完全表層を捨てて、水深1m前後のゾーンを集中的に探る
- ボトム付近を丁寧に探ってみる
次回の釣行で、ぜひこれらの事を意識してみて下さい。きっとこれまで見過ごしていた物陰から、シーバスがガバッ!とルアーに食いつくはずです!
シーバスの生態を考慮して効率よくシーバスを釣るための秘訣とは?
シーバスの生態について説明してきましたが、このような特徴を踏まえて考えると、この魚をルアーで釣るためには以下のような工夫が効果的だと考えられます。
- その時偏食しているベイトに合わせたルアーを選ぶ⇒マッチザベイトの概念
- 季節ごとに釣れやすさがある事を理解する⇒難しい季節(=厳冬期)を外して、簡単に釣れる季節(=春と秋)を選ぶ
- 季節に合わせた釣行時間を選ぶ⇒朝マズメ+夕マズメ+シーズナルパターン
- シーバスは基本的に水面を警戒している⇒気配を殺して忍者のように!
釣りは運のゲームではなく、再現性のある科学であり、技術介入度が高いスポーツでもあります。そして、この技術介入度を強くサポートするのが、『シーバスの生態』という知識だといえると私は考えています。
そういった意味では、シーバスの事を正しく理解し、釣り人の都合ではなく魚の都合に合わせてあげる事が、この釣りの一番のコツであると言えるのかもしれませんね。
まとめ
一言でまとめると…『シーバスの生態を勉強すると釣果にもつながりますよ!』というお話でした。
季節ごとのベイトパターンや生息域を意識するだけでも、シーバスの釣果は大きく変わってきます。
ぜひ、次回の釣行の時に、『今の時期のシーバスはどこにいて、何を食べているのか?』をという視点で、ポイントと投げるルアーを絞り込んでみて下さい。
きっと、目の前のシーバスが答えを出してくれるはずですよ!
また、本サイトではシーバスのルアーフィッシング超初心者のために、この釣りの始め方に関する特集記事や、私(編集部・るあらび)の釣行記録も準備しています。もしあなたが、まだ一度もシーバスをルアーで釣った事が無いという事であれば、きっと役に立つと思いますよ。
以下の記事一覧まとめページから、気になるコンテンツが見つかると思うので、ご参考になれば嬉しいです!
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本記事があなたのアウトドアライフの一助に、そして、モンスタークラスのシーバスを釣り上げるきっかけになれば嬉しいです。