毎日スーツを着てオフィスに向かう、そんな仕事がかっこいいと思って就職したけれど、向いてない気がする…。
やっぱり外で体を動かす仕事の方が自分には向いているんじゃないか?
今この記事を読んでいる読者のみなさんのなかには、そう思っている人が多いのではないでしょうか。
この記事を書いている私も同じように考えていた一人です。
もともとゴリゴリの体育会系、スーツで行った面接全てに落ち、服装自由の面接に私服で行くと全て受かる特殊な人間だったので、「私オフィス向いてないんだな」と悟って田舎にフェードアウトしてアウトドアな仕事をしていました。
オフィスを抜け出して自然に関わる仕事に転職したい!

とはいえ、自然に関わる仕事って正社員の雇用はあまりないし、収入も心配なイメージ。
でも実はそんなことはありません。職業によっては収入が高いものもあります。
今回は自然に関わる仕事を厳選して10種を紹介します。
国家公務員や、正社員の仕事、独立してできる仕事など業態は様々ですが、これを読んで自分の概念にはなかった自然に関わる仕事を知るキッカケにしていただけると幸いです。
自然に関わる仕事10選【森の仕事】

①林業
林業は木材資源の供給を目的とする仕事。
単純に木材として利用できる木を伐採するだけではなく、苗木を植え育てるために雑草を取り除く作業、苗木の生育を邪魔したり育ちの悪い木を取り除く作業、余分な枝を落としたり、成長して狭くなった木と木の間隔を間引く作業など全てを行います。
最近では林業担い手の減少から災害による被害拡大の原因に植林した場所の管理不足も指摘されるなど、防災の観点からも非常に重要な役割を担っています。
また一方で空気や水、川や海の資源を守る森を育成する環境保全型産業としても注目されています。
林業に携わる作業員のほとんどは森林組合の職員か民間の林業会社の社員です。
多くは野山の残る比較的田舎に多い仕事です。
組合によって給与体系などが異なり、雪の多い地域では季節雇用もあるので確認が必要です。
また組合が各自治体と協力して定住率アップのために採用をPRしている場合もあります。
自分の山を買ってその森から木材を伐りだして家を建てる、なんて壮大な夢も描けるのがこの仕事ならではの魅力です。
②パークレンジャー
パークレンジャーは環境省の職員である自然保護官のこと。
国土面積の14%を占める国立公園、国定公園、都道府県立自然公園の景観を管理、利用者への自然解説を目的として配置されています。
彼らの仕事は国立公園内の開発の監視、野生生物を保護するための業務、開発規制に関わる許認可証などが主です。
行政の仕事としてその自然景観を守る責任のある仕事です。
パークレンジャーになるには国家公務員採用試験に合格し、なおかつ環境省に採用される必要があります。
難関ではありますが、国家公務員という安定した職業。
ちなみに、配属地は2、3年ごとに変わることが多いため、転勤族になることも心しておくべきでしょう。
何と言っても魅力は雄大な自然の中で仕事ができること。
しかし思っているよりデスクワークも多い仕事です。
パークレンジャーが国立公園の魅力や感動的な景色を発信するインスタグラムアカウント「nationalpark_japan」で気になる人にはその魅力を確認してみてください。
国家公務員はハードルが高いけれど、国立公園が好きで仕事がしたいという人には、パークボランティアや自然公園指導員といった関わり方もあるので調べてみると良いでしょう。
自然に関わる仕事10選【海の仕事】

③漁業
漁業と一口に言っても、沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業と種類があり、そのライフスタイルは全くと言って良いほど異なります。
最も一般的なのは沿岸漁業で、基本的に日帰りできる場所で行うもの。
反対に遠洋漁業はマグロやカツオを追って世界中の海を駆け巡り、短くても1ヶ月から2ヶ月、長いと1年ほど船に乗り続けます。
その中間が沖合漁業です。
遠洋漁業、沖合漁業を希望する場合は漁業会社で働くのが一般的、また沿岸漁業の場合は漁船の乗組員から始めて船舶操縦士免許や潜水士などの資格をとるなどキャリアを積んで漁師として独立する道が一般的です。
また、漁業は漁業でも養殖という選択肢もあります。
養殖を行うには漁協の組合員になり、漁業権を取得することが必要です。とはいえ漁業を始めたばかりの新参者がいきなり組合員になるのは難しいこと。
地域に根ざした産業の一つである漁業は、限りある海の資源を守るため誰しもに開かれた産業ではありません。
しかし、漁業従事者の減少は深刻な問題。
新規で漁業に挑戦する場合には地元の漁師さんたちとの信頼関係を築くことが重要です。
漁業は日本の食文化を支える仕事。そして自然と共に生きる職業でもあります。
2055年には世界の人口は100億人を超えるとも言われ、今以上の食料が必要になる今後の世界の食を支える仕事ともいえるでしょう。
④ライフセーバー
ライフセーバーは、水辺の事故を未然に防ぐための人命救助活動をする人たちのこと。
夏になると海水浴場でイキイキと働いている彼らは海水浴場での監視の他にも、海岸などのパトロール、迷子の保護、ゴミ拾いなども行っています。
事故が起こると究明に駆けつけ、応急手当てや蘇生法を施すこともあります。
またライフセービングは競技としての一面を持っており、国内での競技会のほか、世界選手権も開催され、プロのアスリートとして活動する人もいます。
しかし、ライフセーバーを仕事として従事する人のほとんどが学生やサラリーマン、OLなどで、仕事として通年で行うには限界があるのも課題があります。
他にもやりたいことがあって兼業が可能で海が好きな人ならば、やりがいのある仕事です。
自然に関わる仕事10選【大地の仕事】

⑤農業
かつては農家の出身者が跡を継ぐイメージの強かった農業ですが、今は新規就農者も少しずつ増えています。
農業と一口に言っても米、野菜、果物、シイタケ、ハーブ、花、有機野菜などその幅は広いです。
野菜などを自分で育てたことのある人ならわかると思いますが、今の野菜の価格は安すぎると思うほど育てるのには手間がかかります。
その過程を経て収穫したものが、消費者のもとに届けられ美味しいと言ってもらえる、とてもやり甲斐のある仕事です。
しかし一方で跡継ぎのいない農家や、農家の高齢化も深刻な問題であることも確か。
日本の食料自給率の低さ、農業者の高齢化の問題からみても、日本の未来にとってとても重要な職業の一つです。
農業経営者になる以外にも農業法人に就職し、サラリーマンのような働き方で農業を行うこともできます。
農業に興味はあるけど野菜を育てたことがまだない、なんて人はプランターからでも良いので今すぐ始めてみましょう。
また、研修生を積極的に受け入れている農家で研修、収穫など繁忙期のアルバイトから始める手もあります。
⑥酪農
牛や山羊などを飼育し、乳や乳製品を生産する酪農の仕事は、朝夕2回の搾乳、牛舎の掃除、糞尿処理、餌やりなど想像以上の体力勝負。
牛は生き物ですから、酪農家(特に個人の酪農家)は365日休みはありません。
しかし、動物の世話が好きな人にとって非常にやりがいのある仕事です。
酪農自体を新規で始める場合、農業などに比べ初期投資が大きくなります。
しかし、担い手の減少から地域で支援する動きがあり、北海道では支援制度のある自治体も多いです。
特に北海道十勝の新得町では独身女性を対象としたレディースファームスクールで研修をした女性が地元の農業法人に就職する事例が多くあります。
⑦畜産業
畜産業とは、動物のうち家畜・家禽を繁殖、飼育または肥育し、乳製品、肉、卵、皮革など畜産物を得て生活に役立てることを言います。
地方では農業と兼業している農家さんも少なくありません。
肉の消費量増に比例して大規模化が進んでいる畜産業。
消費者の食の安全への意識が高まっている今、国産和牛やブランド豚を育てる畜産農家が「顔の見える生産者」として注目を浴びています。
畜産業は収入も大きいですが、必要な重機など必要な経費の額も大きいので新規参入が難しいのも事実です。
しかし、農業や酪農業と同じく担い手は不足しています。
「新規就農チャレンジ事業」などといった補助金や助成金も用意されているので、興味のある自治体を一度チェックしてみると良いでしょう。
自然に関わる仕事10選【空の仕事】

⑧気象予報士
テレビの天気予報でもよく目にする天気予報士。気象予報士は1994年に生まれた比較的新しい国家資格です。
気象について学ぶということは、自然環境について学ぶということ。
天気の移り変わりや自然の偉大さを目の当たりにしたり、研究心や探究心の満たされる仕事です。
実際の国家試験は合格率が5%とかなり難関の試験です。
気象予報士の資格を活かせる現場には気象庁、民間の気象会社などがあります。
また、テレビやラジオの放送局では、気象情報センターに予報士の資格を持ったキャスターを置いて独自に番組を作成する局もあります。
天気予報は、単に服装選びや外に洗濯物を干して良いのか?という暮らしを支える天気の情報だけではなく、小売業の仕入れ、観光業の繁閑予測などビジネスにも必要な重要な情報です。
近年は豪雨災害や、大雪などが増えていることからも、気象予報士として天候を予測し災害へ備えるなど、情報を伝えることは人々の命を守ることにもつながる仕事でもあります。
自然に関わる仕事10選【環境の仕事】

⑨野生動物調査
日本の自然環境への意識の低さもあり、あまり知られていない野生動物調査の仕事。
公共事業などの工事を行う際に、周辺環境、特に動物の生態系への影響を調査をします。
また、その工事が原因で生態系や自然環境が破壊される恐れがある場合には事業計画の内容を見直すこともあります。
アメリカではワイルドライフマネジメントといってすでに市民権を得た職業です。
野生動物の保護を唱えるのではなく、どこに動物がいるのか調査をして、その事実を元にどんな提言や政策が可能かを導き出すまでが仕事です。
野生動物や植物の生態についての知識はもちろん、工事や建造物についての調査・ヒアリング能力も必要です。
就職先は調査会社や行政など。
日本の自然環境を守るため公共事業の計画に物申せるやりがいのある仕事です。
⑩自然環境の復元
これまで、公共事業は日本の河川をコンクリート製に作り変えてきました。
しかし一部の河川で生態系の持つ水質浄化能力が失われ、生態系に影響を与えていることがわかりました。
そこで失われた自然環境を復元する仕事が生まれました。
ただ失われた自然に植林するわけではなく、失われた植物のその土地での機能を調査し復元の方法を考えます。
依頼元のほとんどは行政。
世界的なSDGsへの関心の高まりからも今後注目を浴びる仕事となりそうです。
そのほかにもある自然に関わる仕事
これまで、第一次産業から国家資格まで幅広い仕事を紹介してきました。
想像していた自然の中の仕事以外の仕事はありましたか?
これまで紹介したものに転職するには抵抗があるなー、という方にはアウトドア関連の自然に関わる仕事や給料についてを別記事で紹介しています。
アウトドアな仕事選びで妥協だけはしたくない!!!という人だけ、ご覧になって下さいね^^
終わりに
今回は、自然に関わる仕事をほんの一部ですが10種類紹介しました。
自然の中で行う仕事のなかにこれからの日本の職を支える第一次産業が多いのも印象的でした。
少しでも未来の仕事のヒントになれば幸いです。
自然の中で生きたい!という欲求を持っている人には自然に関わることを仕事にする以外にも、自然環境が身近にある田舎に移住するということも選択肢の一つです。
私は家で畑をしながら、窓の外に小鳥や野生のリスもやってくる自宅オフィスで仕事をしていますが自然環境欲も満たされています。
これとちょっと関係するのですが、田舎の移住に関してはシロロさんの書いた下記の体験談がかなり参考になったので、興味のある方は読んでみてくださいね。