「船釣りはしてみたいけど、どうやって始めたらいいか分からない」
そんな人向けに、船釣り歴20年の私が遊漁船(乗り合い船)での船釣りの始め方を丁寧に解説いたします。
「興味はあるけど、船釣りはなんとなく不安」だとか、「どんな準備をすればいいんだろう?」といった疑問にお答えします。
一度船釣りをやったらきっと病みつきになると思います。楽しみながら旨い魚をゲットしましょう。
船釣り初心者が注意すべきこと
初めてだとどんなことに気を付けたらいいか気になりますよね。
私個人としては守っていただきたいことは2つです。
ひとつ目は海を汚さないこと。もうひとつは船長の指示にしたがうことです。
海を汚さない
釣り人なら海を汚さないのは最低限のマナーですよね。
たまにタバコの吸い殻やゴミを海に投げ捨てる人を見かけますが、絶対にやってはいけません。説明するまでもないと思います。
遊漁船では最後にゴミを回収(バケツにまとめて入れておく)するのが一般的です。
または缶やその他のゴミを分けて捨てる大きいバケツが用意されている場合もありますので、その船の指示にしたがってください。
船長の指示にしたがう
遊漁船に限らず、安全のためにも船に乗ったら船長の指示にしたがわなければなりません。
「ライフジャケットを着用してください」とか、船が動いているときは「立ち歩かないでください」などと指示が出ることがあります。必ず言うことを聞きましょう。
時には、漁業資源を守るために、小さい魚を釣り上げたときに「逃がして!」なんていう指示をされることもあります。
遊漁船の船長は基本漁師ですから。
- 海を汚さないことは最低限のマナー。海へのゴミ捨ては厳禁。
- 船の上では船長の指示に従おう。
初めての船釣りにおススメの釣りモノは?
私のおススメはズバリ「シロギス」です。
シロギス釣りは春から夏にかけてが旬ですので、服装等の準備もラクですし、タックルも軽めなので初心者にも始めやすいでしょう。
しかも割と簡単なのでよほど運が悪くなければ、初めてでもある程度は釣りあげることができるはずです。
シロギスのポイントは砂地ですので、船釣り初心者を悩ませる「根がかり」がしにくいのもおススメ理由のひとつです。
あと食べて美味しいということも大事なポイントですね。
キスというと皆さん天ぷらを思い浮かべるかもしれませんが、刺身も絶品です。
キスの刺身を食べられるなんてまさに釣り人の特権ですね。
多くの船釣りはベイトリールや両軸リールを使用しますが、シロギスはスピニングリールでOKです。
バス釣り等で使っているモノでも流用できます。ライン(糸)はPEに変えてくださいね。船釣りは波や潮の流れがあるので、弾力のあるナイロン糸だとアタリが取りにくいです。
シロギス釣りの唯一の難点といえば、エサがイソメ、ゴカイなどの虫であることでしょう。
苦手な人は、・・・・がんばってください。
- 初めて船釣りに挑戦するならシロギスがおススメ。
- シロギスは比較的簡単に釣れる上に、とても美味しい魚。
- シロギス釣りはエサに虫を使うので、苦手な人は注意。
釣りモノを決めて予約をしたら仕掛けを準備
遊漁船は予約制の場合と、先着順の場合があります。
仮に先着順でも、いっぱいになったら2艘目の船を出してくれる場合もあります。
不安な場合は電話で問い合わせてみてください。
大きな船宿(遊漁船のお店を「船宿」と言いますが、宿泊するワケではありません)ではいろいろな釣りモノを同時にやっていることも多いです。
予約の場合はお目当ての釣りモノを伝えましょう。
先着順の場合でも、希望の日にお目当ての釣りモノの出船予定があるか確認してください。
釣りモノが決まったら仕掛けを用意します。
船宿おススメの仕掛けを現地で買うこともできます。
船上で買うこともできますので、無理に多めに準備しておく必要はありません。
どうしてもこだわりの仕掛けを使いたいのでなければ、船宿(船上)で売っている仕掛けで大丈夫です。
なお、オモリなどは事前に何号がいいか確認して用意しておきましょう。
テンビン等が必要な場合(釣りモノによります)も用意が必要です。船宿に問い合わせるか、釣具屋さんで相談すれば教えてくれます。
基本的にエサと氷は船宿でもらえます(有料の場合もあります)。
なお、予約制でも先着順でもほとんどの場合、釣座(船で釣りをする位置)は早い者勝ちです。
大抵の場合いい釣座は常連客に取られているでしょう。
ちなみにいい釣座とは船の一番後です。
- 前日までに船の予約をしよう。予約不要の場合も出船するか確認が必要。
- 仕掛けは船宿(または船上)でも買えるが、テンビンやオモリは事前に準備。
初心者でも迷わない!船釣り当日の流れ
①遅刻厳禁!
当然ですが、出航時間に遅れないようにしましょう。
着替えたり道具の準備をしたりする時間も必要ですし、受付もしなければなりません。
遅くとも出航の30分前には到着するようにしましょう。
単独の船宿もあれば、港に複数の船宿が固まっている場合もあります。到着すると案内(車の誘導係)の人がいて、船宿の名前を聞かれたり、釣りモノを聞かれたりする場合があります。
案内の人に聞かれたら「シロギス!」とか「○○丸(船宿の名前)のシロギス!」などと伝えます。
これは船宿や港の駐車場事情にもよりますが、釣モノによって終了時間が違うため、早く終わる釣りモノの客が出やすいように車を停めるためです。
②現場での受付
車を停めたら、まずは受付を済ませませてください。
料金を払って乗船名簿に名前や住所を記入すると乗船券(手書きの番号札だったりします)を渡されます(小さい船宿では渡されないこともあります)。
ここで氷を渡されたり、ライフジャケットを借りたりする場合が多いです。
ほとんどの場合仕掛けを買うこともできますが、あまり多めに買わなくて大丈夫です。
船の上でも買うことができますので。
受付が終わったら着替えや準備をして船に向かいましょう。
③釣り座を選ぼう
前述のとおり、釣座は早い者勝ちなのですが、船宿によっては乗船前に釣座を決定する場合があります。
船の釣座を表したボードがあって、そこに番号札が掛けられており、先着順にその番号札を取るシステムなのですが、初めての場合分からないと思います。
予約や問い合わせのときに、釣座はどうやって決まるのか聞いておくといいでしょう。
④いざ、出陣!
船に乗り込んだら、自分の釣座(決まっていない場合は好きな場所)に荷物を置いて、仕掛けの準備を始めてください。ほどなく船長が乗船券を回収しにきます。
エサもここで渡されることが多いと思います。
必ずバケツが必要ですが、これは船上に無造作に置かれている場合が多いので、自分でゲットしてください。
出航の際、竿は立てておきましょう。
船のヘリに竿を立てる穴があります。
竿を立てずに船外に竿先を出した状態だと、出航の時周囲の別の船や杭などにぶつかって竿が折れたり、落下したりする危険があります。
- 遅くとも出航30分前には到着しよう。
- 釣座は早い者勝ち。いい場所を取りたければ早く行くこと。
- 乗船したらバケツをゲットし、仕掛けを準備。竿先は船の外へ出さないように。
いよいよ緊張の船釣りスタート!
ポイントに着いたら、船長がマイクで「ハイ!やってください」などと言いますので、それを合図に釣りを始めます。
この時にほとんどの場合「水深○○メーター」のように、タナ(仕掛けを入れる深さ)の指示があります。
キスのように底にいる魚であればオモリが着底した状態で構いませんが、中層の魚をねらう場合、タナがずれていると釣れません。
ちなみに私の友人が初めてキス釣りに挑戦したとき、底をねらうということを教えなかったばかりに、中層で仕掛けを止めていたらしく、アジばかり釣っていました。
本人はよろこんでいましたが。
あまり釣れないなと船長が判断すると、場所を変えるために「ハイ!上げてください」などと言います。このこまめな船長の判断が、釣果を左右するんですね。
合図があったら素早く上げましょう。
少しだけ船の位置を移動する場合もありますし、大きく移動する場合もありますが、移動後がチャンスです。
船長が魚探を見てイケると判断したワケですので。
- 船長の合図で釣りをスタート。狙うべきタナも船長が教えてくれる。
- 船を移動するときには上げるよう指示がある。合図があったら素早く上げよう。
- 船の移動直後がチャンス。
船釣り中に注意すべきこと
おまつり
混みあった遊漁船では「おまつり」がつき物です。
船釣りでのおまつりというのは、自分の仕掛けと他の人の仕掛けが絡むことで、基本的にはどちらが悪いということもないので、お互いに「すいません」と言って、先に引き上げた人がほどくのがマナーです。
どうしてもほどけない場合は船長に助けを求めるか、相手の了解を得て糸を切ってしまいます。時間がもったいないので。
おまつりを防ぐために重要なのは、船宿で指定されたオモリの号数を守ることです。
自分だけ重さの違うオモリを使うと、糸の出る角度が異なってしまうため、他の人の糸と交差してしまいます。
もうひとつのおまつりの原因は、かかった魚が動き回って周りの仕掛けにからんでしまうパターンです。
特に外道でかかる青魚(特にサバ)は横方向に素早く動き回るので、あっという間に周りの仕掛けをグチャグチャにしてしまいます。
ヘンな動き(横方向への早い動き)を感じたら、「なんか釣れた!」と喜んでいないで、素早く巻き上げてください。
メゴチや害魚
海には触らない方がいい魚がたくさんいます。
基本的には見たことない魚を釣った場合は素手で触らないようにしましょう。
メゴチバサミ(魚をつかむためのトング)があると便利です。
メゴチはキス釣りでよく釣れる外道で、食べたらとても美味しい魚ですが、体が粘液に包まれていてヌルヌルです。
そのために使うのがメゴチバサミで、その他の危険な魚をつかむ際にも使用できます。
危険な魚の代表格といえばゴンズイで、こちらもキス釣りの外道で見かけることが多い魚です。
ヒレのトゲに毒を持っていますので、絶対に直接触れないようにしましょう。私は刺されたことありませんが、刺されると激痛らしいです。
基本的には知らない魚は触らないことです。
- 船が混んでいる場合はおまつりに注意しよう。青魚がかかったら素早く巻き上げる。
- 見たことない魚を釣り上げたら素手で触らない。メゴチバサミがあると便利。
家に帰って美味しくいただくまでが船釣りです
釣り上げた魚はあまり長い間バケツに入れておかず、早めにクーラーボックスに入れましょう。
特に傷みやすい青魚等は、釣りあげたらすぐにシメて血抜きをした方がいいです。
血が抜けたら早めにクーラーボックスに入れます。これが美味しくいただくために最も重要なことです。
クーラーボックスには海水を入れて、氷で冷やした海水に魚を沈めます。
海水を入れないと、直接魚が氷に触れてしまい氷焼け(冷やし過ぎで魚が傷むこと)してしまいます。
ちなみに真水を入れてしまうと、魚が水っぽくなりますので、必ず海水を入れてください。
魚の種類にもよりますが、せっかく新鮮な魚をゲットしたのなら刺身で食べてみてはいかがでしょうか?
調べれば色々出てきますので、魚を捌くことにも挑戦してみてください。
本格的に自分で捌くようになったらマイ包丁も欲しくなりますね。小型の出刃包丁があると便利だと思います。
普段はキッチンに立たないのに、魚で汚すと奥さんにしかられます。
うろこの飛び散りに注意して後片付けまでしっかり行いましょう。
いくら美味しい魚をふるまっても、キッチンを汚すと次回の釣りを快く見送ってもらえなくなりますよ。
- 鮮度を保つために、釣り上げた魚は早めにクーラーボックスへ。
- クーラーボックスには海水を入れる。
- 釣った魚を張り切って捌いても、キッチンを汚すと奥さんに怒られる。
船釣りの始め方まとめ
初めて船釣りに挑戦する人に分かっていただけるよう、準備から1日の流れに沿って解説してまいりました。
船宿(遊漁船)によって多少ルールが違っていたり、釣りモノによって異なる部分もあるかもしれませんが、基本的なことは大体お伝えできたと思います。
不安なことがある場合は事前に問い合わせればOKですし、船の上でも分からないことがあれば船長にどんどん聞きましょう。
船長も漁師なので、中には口が悪い人も多いですが基本的にはみなさんやさしいです。
心配しないで船釣りに挑戦してみてください。きっとハマると思いますよ。