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地方移住はうつ病の治療に良いのか【暮らし方次第】

田舎暮らしとうつ病

都会で毎日を過ごす中、仕事の忙しさ、焦燥感、人間関係などのストレスが原因で『うつ病』『鬱のような症状』になってしまう人が多くいます。

本記事の筆者は医学的な知識があるわけではありません。

しかし地方に移住したうちの1人として、実体験を元に地方移住がうつ病の治療に良いのかを考えていきます。

学生の頃や子供の頃は、『うつ病』なんて遠い話に感じていましたが、会社の同僚や、町で出会った人など意外と症状を抱えていたり、もともと症状があり克服した人に出会います。

そのような事実を踏まえたい上で、

  • 地方暮らしだったけど鬱っぽい症状になった自分の話
  • 田舎暮らしでもうつ病発症は『暮らし方』次第
  • うつ病の治療に良いとされる生活習慣と田舎の関係
  • 田舎での暮らしはストレスが少ないのは科学的に証明できる

というお話をしていきます。

地方暮らしでも鬱っぽい症状になった自分の話

サクラ

実を言うと、私も鬱のような症状に悩まされたことがあります。

これは都会に住んでいた時ではなく、地方に移住してから。

田舎暮らしだったけど症状を引き起こしてしまった原因は、主に仕事によるストレスです。

  • 長時間労働
  • ストレスの多い労働(クレーム対応など)
  • 自分のキャリア形成への悩み

 

そんな毎日が原因で、以下のような症状に悩まされていました。

  • 出社前に嗚咽が止まらない
  • 心配でよく眠れない
  • 胃が痛い、常に吐き気で気持ち悪い
  • 出社日が便秘
  • 会社に行きたくなくて涙が出る
  • 人に会いたくない

文章にして見返してみると、身体も心もボロボロですね。

死にたいの領域にまでは到達していなかったので、精神科などにも通院しておらず、うつ病の診断は受けていません。

『うつ病』の診断を受けるほどではないと自分では考えています。

しかし、体は確実に不調を訴えていましたし、こんな毎日が続く先はうつ病、発症してからでは遅いと考え、退職を決意ました。

田舎に暮らしていても、過度なストレスがかかるような暮らし方では鬱を発症する人もいます。

実際に会社の同僚で、別の部署でしたがうつ病を発症し休職していた子もいました。

ですから『地方移住=うつ症状がなくなる』と端的に考えている方には、待ったをかけたいです。

うつ病症状改善には暮らし方改善が必須

冬の山登り

上述した通り、私のストレスは主に仕事に起因するものだったので、仕事を辞めました。

地方に移住して3年間、仕事が毎日忙しく、帰ってきてはコンビニのご飯をかき込んで、お風呂に入ってすぐ就寝。

朝起きたら30分で家を出てコンビニで朝ごはんを買って車で食べながら会社へ向かう。

そんな毎日を過ごしていました。

ですが、退職し以下のように日常の暮らしを大幅に変えることで、体調不良などの諸症状が解消されていきました。

  • やりたくないことはしない
  • 好きな人とだけ一緒にいる
  • 否定的な言葉をかけてくる人とは距離をおく
  • 目覚ましをかけずに寝る
  • 毎食なるべく自炊する
  • 畑をやる

そんな風に、『嫌なことはやらないこと』『小さく自分を褒めてあげられることをたくさんすること』を心がけました。

どこに住むかよりも、どのように生活するかが重要だと感じました。

今では、自分で小さなビジネスも始めていて、充実した生活を送れています。

一般的にうつ病に良いとされる生活習慣

うつ病を発症してしまって通院すると、多くの患者さんが薬を使って症状を緩和されますが、薬での治療以外にも生活習慣の改善が効果的とされています。

具体的には以下のような生活習慣です。

  • 規則正しい生活をすること
  • 運動をすること
  • 日光を浴びること
  • 食生活は野菜果物を多く取り、肉よりは魚

辛くなった時は深呼吸をして一旦気持ちを落ち着かせることも効果があります。

また対人関係は、気持ちを受け止めて話を聞いてくれる人とだけ付き合うのが良いでしょう。

意見の押し付けや励ましは負担になるので、そのような人とは少し距離をおくべきです。

上記のような生活習慣の改善は、田舎だけではなく都会の生活でも同じです。

しかし、このような自分と向き合う時間を『田舎で過ごすこと』には多くのメリットがありました。

心が疲れてたときに田舎で過ごしてよかったこと

『自分はどうしてみんなができることを続けられないんだろう。』

『親に大学まで行かせてもらったのに何をしているんだ。』

『できることなら誰にも会いたくない。』

退職して仕事へのストレスがなくなったものの、辞めてしまったことで私は落ち込んだ日々を過ごしていました。

そんな心が疲れてしまった状態で、自分を取り戻していく時間を田舎に暮らしていてよかったと思うことがあります。

主に、

  • 深呼吸したくなる自然の景色
  • 夜型の生活習慣になりにくい
  • 散歩をしていても人に会いにくい
  • 土に触れられる

 

など、人口が少ないゆえに他人に会うことが少なく、自然が多い環境がプラスに働いたと思っています。

深呼吸したくなる景色

オリジナル

都会に住んでいると少し外に出るだけで多くの人がいて、その姿が目に入ってしまいます。

普通に働いている人の姿を見たり、楽しそうにしている人を見て

『みんなはできてなぜ自分にはできないのだろう?』

と辛くなってしまい、外出するのが億劫になってしまいます。

一方当然のことながら、田舎には『自然』『緑』が多いです。

少し町の中心部から外れるだけで、周りに人もいないことが多いのでホッとできる場所が多いです。

山や湖のほとりなど自然の中に身をおくと、自然と呼吸も深くゆっくりできて落ち着きました。

小さな部屋、変わらない景色の中よりは、外に出て気持ちを落ち着かせられるは田舎に住んでいて良かったなと思います。

夜型など乱れた生活習慣だと暮らし難い田舎

スーパー

うつ病の治療には規則正しい生活と日光を浴びることが良いとされています。

田舎での生活は、夜型など乱れた生活習慣では暮らし難い環境です。

  • スーパーなど閉店時間が早い
  • 24時間ではないコンビニも多い
  • 夜の繁華街等がそもそもない

とにかく夜は店がやってません。少ない街灯しかなく夜道も暗いですし。。。

そうなると、何かするにも強制的に昼間に起きるしかありません。

メリットともデメリットとも取れますが、うつ病の治療にはかえって良い環境でもあると思いました。

散歩をしても人に会いにくい

山歩き

健康のために推奨される運動のうち最も手軽なものが散歩です。

面倒であること以外にも、人と会いたくない理由でも外出したくない気持ちになりますよね。

田舎だと場所や時間を選べば誰にも合わず散歩ができます。

たまに川や湖などでぼーっとしたりもしました。夏、冬問わずに山にも登りました。

自然に足が向くような場所があることで、運動に対するハードルも少しばかりは下がりました。

土に触れられる

畑

最後に土いじりをしたのはいつですか?

昨日?一年前?

もう覚えていない人もいるはずです。

実は土に触ることはストレスに良いのです。

土壌に生息する腐生性細菌マイコバクテリウム・ヴァッカエには、抗炎症、免疫調節、およびストレス耐性の性質があるそう。

私も未だに接客仕事で少し疲れてしまった日は、家に帰って真っ先に畑に行き30分くらい雑草抜いて心を落ち着かせています。

田舎に住んで、少し元気になってきたら小さな畑をしてみるのがオススメです。

野菜や植物の成長には、心動かされるものがあります。

都会に住む人の脳は、社会的ストレスの影響を受けやすい

実際に研究機関での実験で、都会に住む人の脳は田舎に住む人の脳よりも社会的ストレスの影響を受けやすいという結果が出ています。

ドイツの大学生を対象にした研究によって、都会に住む人の脳は、田舎に住む人に比べて、ストレス、なかでも社会的ストレスの影響を受けやすい傾向にあることが明らかになった(論文は6月23日付けの科学誌『Nature』で発表された)。

(引用:WIRED

この実験では、学生の脳を装置でスキャンしながらコンピューターによる数学のテストを受けてもらい、自分の点数が並外れて低いという大抵の人にとってショッキングな「偽のフィードバック」を与えました。

実験の結果は以下のようになりました。

  • 都市部の学生たちは、非都市部の学生たちと比べて扁桃体と前帯状皮質の脳梁膝周囲部の活動量が増大
  • 扁桃体は感情やストレスの処理を担い、前帯状皮質の脳梁膝周囲部は扁桃体を制御する働き
  • したがって、都市生活者の脳が、社会的ストレスに対して過剰に強く反応している

 

非都市部に住む学生より、都市部に住む学生はストレスに過敏になっていたということです。

田舎に移住すれば、科学的にもストレスが緩和できる可能性が高いのです。

実際にうつ病になった人のお話

悩む女性先日、お会いした方のお話が心に響いたので皆さんにもお伝えしたいことがあります。

実際にうつ病を経験した方のお話です。

その方はお子さんのいじめをキッカケに、母娘2人で東京から田舎に引っ越してきたそうです。

数年経ってお子さんも無事元気になり、成人して独り立ち。

ホッとしたのも束の間、生きる目的を失ってしまったことで今度はご自身が鬱病を発症します。

もともと育った環境が厳しかったこともり、

  • 〜たるものこうであるべき
  • 〜でなくてはいけない
  • 〜すべき

そういった社会の概念に一生懸命になって、苦しくなってしまいました。

そのまま田舎でうつ病の治療に専念されたそうです。

「何もせず田舎で一人で自然を見て、気付いたの。ああ生きるのって息するだけでいいんだって。60年も生きてて初めてそう思ったのよ。」

『何もない自分』でも、大切に思うことができればそれで十分だと。

そのことに気付いたら症状が徐々に良くなり、今ではこの田舎での生活を満喫している、この場所に出会って良かった、そうお話ししてくれました。

今はご自身の経験を活かして、不登校のお子さんやその親御さんのサポートをするお仕事をしているそうです。

お話を聞いていて、この方はうつ病を経験して強くなられたんだなと感じました。

少なくとも名前も知らない方のお話で、私の生きずらさは少し軽くなりました。

終わりに

 

 

芝桜

以上、私の経験したうつ病と田舎のお話でした。

地方移住したらうつ病の症状が改善するのか?という問いには『暮らし方次第』というのが結論だと思います。

田舎にいてもうつ病を患う人は少なからずいます。

単純に場所を変えただけで症状が軽くなるとは言えませんが、田舎や自然には何かを気付かせてくれるパワーがあると私は思っています。

うつ病の人も、そうでない人も、もう少しみんなゆっくりで大丈夫。そう思わせてくれる田舎や人に出会えると良いなと思います。

ABOUT ME
ぐりゆう
田舎で半自給自足スローライフを実践中。 彼氏に引き摺り込まれバックカントリースキー、キャンプ、釣りが趣味になってしまったアウトドア女子。 アウトドアが身近にある田舎暮らしの魅力を伝えていきます。